愛犬の食物アレルギーが心配という飼い主さんの声をよく耳にします。この記事では、実際に見られる症状と食物アレルギーが疑われるときの対処方法について解説します。
こんな症状があったら食物アレルギーかも
こんな症状が出たら、食物アレルギーの可能性があります。
特定の食材を食べると症状が出る。
具体的には、以下の通りです。※
- 下痢、嘔吐（アレルギーとなっている食材をやめれば数日以内に治まる）
- 体を痒がる（特に耳、顔、背中などが多い）
- 体の一部が腫れる（口、鼻など顔周りが多い）
これらの症状が出るのは、食材を食べた直後です。ただし、フードを替えた直後とは限りません。「フードを変えてから数週間後」など、遅れて症状が発現することもあるため、飼い主さんが食物アレルギーだと気付かないこともあります。
※食物アレルギー以外でも、消化管疾患、皮膚や内臓の病気など、様々な原因で起こることがあります。食物アレルギーだと決めつけず、症状が出たときには、まず動物病院を受診しましょう。
食物アレルギーが疑われるときの対処方法は？
動物病院を受診し、食物アレルギーの可能性が高いと分かったら、疑わしい食材を避けることが重要です。
可能性のある食材が絞り切れない場合には、以下の３つの方法を行います。
1.アレルギー用の療法食に切り替える
複数のフードでアレルギーと思われる症状が出る場合、療法食に切り替えると改善することがあります。
療法食は、低分子プロテインが使われています。低分子プロテインとは、アレルギーのもとであるタンパク質の構造を変化させたもので、アレルギー反応が出にくいとされています。
2.今まで食べたことのない原材料が主原料のフードを選ぶ
原因となる食材が特定できず、療法食でも改善しない場合、今まで食べさせたことのない原材料を使用したフードを選ぶことで改善されることがあります。
特に鶏肉アレルギーが疑われる場合、療法食に使用される低分子プロテインは鶏肉を加工したものが多く、症状が改善されないことがあります。そうした場合には、鶏肉以外を主なタンパク源として使用しているフードが良いでしょう。豚肉、馬肉、羊肉、鹿肉、魚などがあります。
また、複数の食材にアレルギーがある可能性が考えられる場合、動物性タンパク質が複数混ざっていると、症状が出たときにどの食材が原因か分からなくなってしまいます。食べる物の選択肢を狭めないためにも、単一の動物性タンパク質を使用しているフードを選ぶのが良いでしょう。
小麦など植物性の原材料が影響している可能性が高いときには、そういった食材が入っていないものを選びます。
注意！！
アレルギーの原因となる食材が特定されていない状態で新しいフードを与える際は、「まず1口だけ与える」など少量から始め、動物病院が開いている時間に試すなど、慎重に行うようにしてください。
3.アレルギー検査を受ける
アレルギー検査を受けることで、原因となっている食材を特定出来ることがあります。
しかしながら、アレルギー検査を受けても、原因がはっきりしないことも残念ながら多いのが現状です。ただ、「与えて大丈夫な食材」が分かることがあるため、与えられる食べ物の幅が広がるという利点があります。
様々な食材にアレルギー反応が出てしまい、何が原因か分からないため、なかなか合うフードが見つからなくて困っているという飼い主さんは、一度動物病院で検査を受けてみるのが良いかもしれません。
それでも改善しないときは？
原因がはっきりせず、なかなか症状が改善しないときは、次のような方法を試すことがあります。
除去食試験を行う
除去食試験とは「一定期間、特定の食材しか与えないことで、アレルギー反応が出る食材を特定する」という方法です。
特定の食材のみを数週間与え、症状がでなければ、その食材は原因でないことが分かります。
除去食試験を開始する際、まずは、鶏肉とじゃがいもを使うことが多いです。
その後は、様子を見ながら段階的に食材を増やしていきます。
それでも症状が出るようであれば、環境中の物質など食物以外が原因となっている可能性もあります。
除去食試験を行う際には、症状が出ない食材を使うことが重要であり、食材を慎重に検討する必要があります。また、一定期間、特定の食材のみを与えることから、どうしても栄養が偏るため、体調や体質によっては避けた方が良いこともあります。
除去食試験は、必ず獣医師の指導のもと行うようにしましょう。
薬で症状を抑える
アレルギー反応を引き起こす原因であるアレルゲン物質を完全に避けることが難しい場合には、薬で症状を抑えながら、比較的症状が出にくい食材を選んで与えます。
食物アレルギーのケアで大切なこと
食物アレルギーの対処方法として一番重要なのは「原因となっている食材を与えないこと」です。
飼い主さんから「新鮮なら大丈夫でしょ？」と聞かれることもありますが、これは大きな間違いです。食物アレルギーだと分かっている食材は、たとえ少量でも症状が出ることもあるため、避けるようにしましょう。
原因となる食材が特定できない場合、複数の動物性タンパク質が使われているフードは、症状が出るリスクを高めてしまいます。フードを選ぶ際は、動物性タンパク質源が一種類のみのものが良いでしょう。
このように、アレルギーのケアは原因を避けることが大切ではありますが、検査をしてもなかなか特定できないことも多いです。生活の質を下げないよう必要に応じて薬も使いつつ、体調を見ながら、「うちの子に合うフード」を選んでいきましょう。
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